sora、sora組のBL漫画制作、お仕事情報や雑記等…
<< August 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< めんたいこフランス8 | main | めんたいこフランス9 >>
山藍紫姫子(やまあいしきこ)中性モノ 4作品「長恨歌」「冬の星座」「虹の麗人」「アレキサンドライト」
JUGEMテーマ:BL小説

ヲタ友から借りて敬遠していた山藍さんの…いわゆる中性モノ代表作の4作品を読みました。山藍さんと言えば耽美小説家として有名ですが、その中でもこの中性モノは、ご本人曰く3年に一度、書きたい衝動がやってくるらしいですが…それぞれ赴きは異なります。

今回私が借りた物は、白夜書房からの再販モノでしたので、挿絵や表紙の装丁が現在の刊行物とは異なっています。山藍さんは何年かに一度、こうして作品を別出版社さんから再販し、その度に修正や手直しをするらしく、その度に内容が少しづつ変化しているそうです。

ここからは長いので畳みます。

↑まずは「長恨歌」。江戸モノです。こちらは中性モノというよりは、女よりも美しい男が色んな男に抱かれまくって、妻にされそうになったり、妻にされそうになった男の長女に逆に犯されたり、不老不死の寺男に犯されたり、用心棒の男に犯されたり、とにかく2冊中、犯されまくってますエロ満載。珍しく男女のHシーンがあり、BLではタブーな女性である長女の視点で描かれており、女性の使い方の上手いBL作品。最後のどんでん返しが…ファンタジー。
↑2つめの「虹の麗人」。比較的4作品の中ではオーソドックス。殺人者という過去を持つ美しい半陰陽の男を、最後には妻にするという作品。中性モノは、この「妻にする」というキーワードがあるみたいですね。

3つめは「アレキサンドライト」。密林では かなりの高評価なこの作品。こちらは半陰陽ではなく両性具有モノです。中世が舞台。形式上のみの妻を娶り美しい将軍だった主人公が、国の衰退と共に、死んだ妻(身体の関係はなかった)の兄である敵方の軍人に幽閉され、身体の秘密を暴かれ、犯され、性の奴隷となっていくという耽美小説。

4作品中、唯一の生粋な両性具有モノ。乗馬しながらのHシーンや様々なHシーンが見所のこの作品。その中でも必見は、2人の男性から両穴につっこまれる3P Hシーン。本人から「中が破れる…」という悲鳴が上がる程の危険極まりない陵辱シーンは一見の価値アリです。しかも、蒼と翠のオッドアイを持つ主人公の「美しい」という表現が一番際立ち、これぞ耽美!と言った作品。
最後に「冬の星座」。私的には、これが一番凄かった!最初の数ページで「間の楔」のラスト並に読者をどん底に突き落とします!

寄宿舎生活を共にしていた学生時代、常にトップだった氷の様に美しい貴族の青年と、その次位に甘んじていた小国の王族の青年が、数年後に成長し再会。王族の青年が所有する離島に招待され、薬で数日間眠らされ、目が覚めると貴族の青年は…本人の意思なく性転換され、戸籍上も王族の青年の妻にされてしまっていたというところから物語は始まります。

常人では、この状態なら気が狂うと思います。しかもこの主人公は普通の青年男子。他の3作品の主人公は、身体のラインや骨格も線が細いのですが、この青年だけは普通の青年の身体のラインをしています。これが余計に痛々しい。

どっかの新興宗教の教祖並の仕打ちに、気丈にも自分の置かれた境遇を嘆きながら、男を求め性の奴隷と化していく主人公の青年。

それでも、どこかで人生の逆転をはかろうと、色んな思惑を繰り返す辺りが、なんともいたいけで、著者が描くストーリーとは別のところで、心を揺さぶられます。

そして、攻は幼馴染みの女性キャラと普通に男女の関係も持っており、それなりに2人は恋愛的に満たされているんですね〜。なら、なんでそこにとどまっておかなかったのかな〜とついつい思ってしまう。受の身体を無理やりに性転換させてしまうほどの攻の動機が…余りに稚拙で、説得力に欠け、私的にこの非人道的な攻の身勝手さに、怒りさえ覚えてしまいます。(そ〜いう所が「間の楔」ほどの名作に成り得ない要因かと。)

このラストで結局2人は一から関係をやり直そう、と決意を固めるのですが、受の性転換された青年の「同性同士で本物の愛情がこの先、本当に生まれるのかどうか私にもわからないが…」というセリフ(うる覚え)を言うんですが(ラストのラストでこのセリフですよ〜だったら、今までは一体なんだったの〜身体はこれ以上ないくらい深く結びついているんですが、主人公の心情は、一切愛情を持つまでに至らなかった様子がラストのこの言葉から伺えてしまいます。

著者の思惑は判りませんが、私には、この物語はここまでがプロローグで、ここからが恋愛として本番、つまり、この後の2人の物語の方が気になるという妙な後味の作品。

とにかく超がつくイタい作品ですが、それだけに、いつもの山藍節である、横やりの王道脇役とかの小細工を省き、攻の動機や主人公の心情表現にもっと重きを持たせ、この先の2人に本物の愛情が生まれるところまで描き切れれば…と思わずにいられない。

4作品を読んで、山藍さんの作品は、メインカップルの攻が受に最初嫌われるところから始まり、途中いかにも嫌われ役な脇役の男が一人、横やりに入って主人公の受を犯し、最後に2人がくっつく、というありがちなBL王道パターンの作家さんなので、安心して読めるかもしれないけど、逆を言えば「先が読めてしまう作家さん」でもあります。(ただ、女性キャラの使い方はとてもお上手な作家さんだな〜と思います)

そういう「安心して読めるBL王道が好きだ〜!」という方にはお薦めですが、私はこの4作品でもう「山藍さんはお腹一杯」状態。それでも「冬の星座」だけは、恐らく山藍さんの思惑外で妄想を喚起される作品ではありました。

読んだよ〜!の足跡代わりにポチッと押して頂けると嬉しいですにほんブログ村 漫画ブログ BL漫画へ