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宝塚歌劇「ポーの一族」

行ってきました宝塚花組公演「ポーの一族」。今回の記事は萩尾望都ファン、特にエドガー愛に溢れたかなり長〜い記事になってるのでウザい方はスルーで。

 

もうね…たっぷり3時間、夢の世界でした。生きた動くエドガーを見れる日が来るなんて…生きててよかった笑。

宝塚はベルばらとかエリザベートとか、大きな演目は見に行ってるんだけど、オタク友達のFちゃんから去年「ポーを宝塚でやるよ」と情報を入手していたので、今回初めての2階席の1列目のチケットをゲット。

 

上演前に今回同行したFちゃんから「劇場内のレストランでポー上演にちなんで『薔薇の紅茶』が飲めるよ」と聞いたので、劇場内のフレンチレストランでランチ後、薔薇のジャムを入れた紅茶をいただき、2人ポー気分を盛り上げ いざ会場へ。

 

とても面白い席でしたね。全体が良く見えるし、花道を歩く時に役者さんがすぐ下を通るのでキラキラ眩しい姿が間近で見れ大満足。

今回は、この麗しいパンフレットをご紹介しながら記事を書きます。

 

凄いですね〜本当に漫画の中から抜け出たようなエドガー。日本人とは思えないビジュアル。原作をとても忠実に再現しています。

 

これが宝塚の凄さ!

 

萩尾望都古参のファン納得の、いや想像以上のエドガーの3次元具現化。これだけでも宝塚ポー上演の価値はあったと思います。

 

これを見る限り、同じ萩尾望都作品の舞台化で成功を収めた男性だけの劇団Studio Lifeの「トーマの心臓」と比べると、美少年を扱う萩尾2大作品において(両方観劇した私としては)やはりビジュアル面では(少年ということを含め)演者が「女性」だけの宝塚に軍配が上がります。

 

見て下さい。この「蒼い目ヂカラ!」これがエドガーですよ。宝塚の目の盛りは少女漫画の盛りと同じ比率だったのですね。

 

今回エドガー役は花組トップ「明日海りお」アラン役は「柚香光」シーラ役が娘役トップの「仙名彩世」

普通ならエドガーの相手役はメリーベルと思いきや、これがなんとシーラ役。物凄く綺麗でした。

(メリーベル、出番は多いんだけど ただの脇役という扱い。ほとんどキラキラ感なし)

 

 

実は「ポーの一族」はエドガーとアランの物語と思われていますが、萩尾望都の最初の構想では「美しい吸血鬼の兄妹のお話」とはっきり書かれています。つまりエドガーとメリーベルのお話なんですよ。

↑ポー連載前の、漫画家が毎月一人1P貰う1ページ劇場での初紙面登場のエドガーとメリーベル(「透き通った銀の髪」以前です)

 

当時、萩尾望都の中にこの美しい吸血鬼兄妹の壮大なお話の構想はほぼ全てありました。それを当時の編集者に話すと「連載はまだ早い」と一喝されたため、まずはこの1P劇場を描き、読者に訴え、その後、読み切りの度にポーの短編をこそりこそりと描いた、という経緯がポーにはあります。その編の詳しい話はこちら。

↑そのページの一番下の端に書かれた小さな萩尾望都の文字。

 

 

話を戻して…今回の宝塚上演の演出も脚本も小池修一郎氏。

 

30年前、小池氏がまだ駆け出しの演出家だった頃、たまたまホテルのカフェで萩尾望都と席が隣になり、当時から萩尾望都のファンだった氏は、その時に自身の名刺を渡し「ポーの一族を是非宝塚で」とお願いし、その場で萩尾本人から口約束を得ていたというから驚きです!

 

30年前と言えば、ベルばら大ブーム後、少女漫画の舞台化が視野にあり、演目を検討する宝塚制作部の書棚にはポーの全巻は既に並んでいたらしく、何度か上演の検討はされていたそうですが、エドガーもアランも14歳という少年の設定、しかも大人の男女のロマンスを描く通常の宝塚の演目において、当時の上演は とても難しかったと小池氏は語っています。

 

萩尾望都も数箇所からポーの上演の申入れを「約束(口約束)がありますから」と30年間 断り続け、自分の生きてる間はポーの舞台は見れないかもしれないと思いながらも、今回は萩尾望都の方から小池氏に「そろそろポーをやって頂けませんか?」と言ったというから凄い!

 

↑パンフレットに掲載されていたコミック見開きページ。オリジナルのコミックでは1巻の中表紙に右半分だけ掲載されていた画像ですが、今回見開きページが40年ぶりに掲載されていました。初めて見るエドガー!!

 

萩尾望都は中学2年に初めて宝塚歌劇団の舞台を見て「こんな美しい男性がいるのか」と衝撃を受け、その後、ポーの宝塚上演の口約束をした小池氏が(萩尾のポーに影響を受け)作った「蒼いくちづけ」という美しい吸血鬼の舞台を見て多大なる衝撃を受けたと後に萩尾本人が語っています。

 

余談ですが、この「蒼いくちづけ」は宝塚大ホールの演目ではなくバウホール(小劇場)での演目。そのバウホールの演目が大ヒットし、東京公演まで実現したのは異例中の異例。しかも当時、星組2番手の紫苑ゆうがドラキュラ伯爵を演じた幻の舞台。紫苑ゆうは歌唱力、演技、ビジュアル、人気が既に3番手あたりから物凄かった男役スター。萩尾望都がスクリーミングされるのも何かわかる気がします。(ということは、もしポー上演がすぐに決定していたら「紫苑ゆうエドガー」が実現していたかもしれない…それも見たかったかも)

 

つまり この「蒼いくちづけ」は、小池氏と萩尾両氏がお互いに吸血鬼という媒体を通して影響を受け合った幻の舞台だったわけで、興奮冷めやらぬその様子を萩尾望都が親交のある夢枕獏に語ると獏氏は「それなら、是非ポーの続きを描いてください!」と言ったというエピソードも(エディス後の話です)もしかすると、それで続編「春の夢」が実現したのかも…。

 

これを聞く限り、萩尾望都本人は宝塚の、しかも小池氏演出のポーの舞台化を心底待ち望んでいたのでしょう。

 

私自身、ずっと「ポーの一族」の舞台化が長期間 何故されなかったのか、もしかして萩尾望都はポーに関しては他媒体の表現方法を嫌がっているのでは?と疑問でしたが、このエピソードを聞いて納得。

萩尾望都は生涯に渡って一番好きなキャラはエドガーだとはっきり語っています。そして こう言いました。

 

「私はこのお話が私のところに降ってきてくれて本当に、本当に良かった。このお話を描いてる間、私はとても幸福(こうふく)でした。」

 

(しあわせではなく、こうふくと云う言葉を彼女は選んで使いました)

 

※ その時の記事はこちら。「メリーベルと銀のバラ」を描いている最中は、ちょうどあの大泉サロンにお住まいの時でした。そのお話はまた後日。(追記:大泉サロンの記事はこちら

 

話を戻して。萩尾望都から直々にポーの上演を依頼された小池氏はこう続けます。「不躾に私が申し出てから30年が経っている。嘗て(かつて)は宝塚的でないと言われた「ルパン3世」も上演されている。時代は変わったのだと宝塚での上演を再検討した」。おりしも、萩尾望都が40年ぶりに「ポーの一族」の新作「春の夢」を描いた矢先、宝塚での上演が決定。「機が熟した」というか、やっと「時代がついてきた」んでしょうね。

 

ただ、私はStudio Lifeの「トーマの心臓」のように、ある「一場面」を舞台化すると思っていたのですが、これが全く違いました。

 

↑麗しい…さすが宝塚。細部に渡って手抜きなし。

 

冒頭はグレンスミスの日記を持つマルグリット・ヘッセンとドン・マーシャルがフランクフルト空港で落ち合うシーンから始まり、彼等が全編に渡って「壮大な時系列の語り部」という構成になっています。これは上手い!と冒頭からワクワクしたのですが…

 

今回の舞台化は原作からかなりかけ離れ、オリジナル脚本に、オリジナルキャラさえ出てきます。これはおそらく原作を知らない人でも物語を理解出来る様にという演出家の配慮からだと察しますが…

 

ポーの一族の巻数はたったの5巻ですが、内容は今の漫画に置き換えると、数十巻並の壮大な大河長編コミックですので、この時系列を全部盛り込んだお話を2時間強に纏めるのは至難の技だったのでしょう。

 

もしStudio Lifeがポーを舞台化していたら きっと3巻の「小鳥の巣」が中心だったと思いますが、今回の宝塚舞台は衣装も人物も時代も華やかな1、2巻が中心です(まずシーラが娘役トップの配役ですから)

 

なのでキリアンやテオは出てきませんが、最後にきちんとドイツのギムナジウムシーンはチラッと出てきます。ルイスが「メリーベルって妹がいたら…」という例の下りですね。制服姿の2人が謎めいていて眩しかったです。

ま〜あれだけ壮大なお話ですし、時系列もかなりですので、これをどう演出するか見ものでしたが、まさか原作曲げて全くのオリジナル脚本にしているとは…ベルばらはかなり原作に忠実に作ってあったので、あれを期待していましたが…やっぱり難しかったようですね。

 

それでも萩尾望都はエドガーがアランを連れ出すバルコニーの「きみもおいでよ。ひとりではさみしすぎる…」シーンは漫画から抜け出したようだと絶賛していましたが、これの対になる執事のセリフ「風に連れて行かれた…!?」のシーンに私はちょっと不服。

 

このセリフは、ベルばらの「見えてないのか!アンドレ!」とか「千の誓がいるのか、万の誓が欲しいのか」に匹敵するポーの名言シーンなのに…じっくり浸りたいシーンなのに…全く余韻がない!

 

そう、余韻がないんです!

 

なので私的には今回の舞台化は、ただ時系列を足早に駆け抜けたお話って印象でした。

 

小池氏がこのページを見るとは思いませんが、私はただ、ベルばらみたいにもっと原作に忠実に創って欲しかったです。

 

萩尾望都の16pの短編「半神」を野田秀樹が舞台化に成功したように、彼女の作品はどんなにページが少なくても、どこを切り取ってもきちんとしたお話が成り立ちます。

 

演技云々以前に、こんなに忙しく矢継ぎ早に場面転換しなくとも充分魅せる美しい舞台になったはずです。素材も完璧、機も熟した、全てのお膳立ては出来ていたはずなのに…。

 

30年間の長きに渡り萩尾望都本人を待たせたのなら、出来る限り原作に忠実に仕上げて欲しかったというのが萩尾ファンとしての正直な感想ですね。

 

ビジュアルが忠実過ぎるくらい忠実なので本当にもったいない。

 

パンフレットの中綴じ↑のちょっとセピア色よりのエドガーとアランのカラーピンナップ。パンフレットはすこぶる豪華です。買う価値あり。

 

 

でもね、今回の公演で私が1番嬉しかったのは…

公演パンフレットの中に大好きな「ペニーレイン」のカラー表紙が夢のA4サイズで掲載されていたこと!こんな青紫色のエドガーだったんだ…美し過ぎる…

 

 

家宝にします。家宝にします。家宝にしま…(やまびこ)

 

 

追記 : 萩尾望都著「ポーの一族」新刊「春の夢」は私、読むのを挫折しました。絵がどうしてもダメで…。どういう感じかというと「同窓会に行ったら、初恋の人が禿げてメタボになっていた」くらいの衝撃。だから、自分の中の記憶は美しく保つ為に、私は同窓会に行ったことないし、この先もポーの新刊は読まないと思います。ごめんなさい。

 

 

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